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お客様の事例・インタビュー
2025.12.12
株式会社ALiNKインターネット
フリーランス活用でM&A後の経理体制を確立。「攻めと守り」を両立する組織づくり

株式会社ALiNKインターネットさまは、日本気象協会と共同運営する「tenki.jp」を中心に、気象情報と地域コンテンツを届けるWeather Tech企業です。「未来の予定を晴れにする」という理念のもと、天気のように人々の日常に寄り添う情報提供を目指しています。
近年は、地域活性化をエンタメで支援する株式会社エンバウンドさまをM&Aし、地方創生領域にも事業を拡大。「温泉むすめ」プロジェクトなど、地域の魅力を発信する取り組みは、株式会社ALiNKインターネットさまの理念とも親和性の高いものでした。
一方でM&A後のPMIでは、非上場企業の会計・経理プロセスを上場企業基準へ引き上げる必要があり、専門的な体制づくりが急務に。そこで同社はFinanceプロパートナーズを通じて、仕組み構築と実務を担えるプレイングリーダーを迎えました。
本記事では、HR推進室 担当室長・西口さまに、その背景と成果を伺いました。
フリーランス活用を選択した背景について

貴社のビジネスモデルを教えてください
西口さま:当社は、日本気象協会と共同で運営する天気予報専門メディア「tenki.jp」を中心に事業を展開しています。年間60億PVに達する大規模サービスで、Webサイトとアプリを通じて、toC向けに気象情報を提供しています。
近年は、「温泉むすめ」というIPを展開する株式会社エンバウンドをM&Aし、地域創生・観光振興の領域にも本格的に取り組み始めました。ALiNKインターネット側が約30名、エンバウンド側が10名弱の体制で、現在は同じフロアで協業しています。
天気という社会インフラと地域コンテンツを掛け合わせ、生活者により幅広い価値を届けることを目指しています。
どのような課題があったのですか?
西口さま:最大のミッションは、エンバウンド側の経理体制を上場企業基準へアップデートすることでした。
これまでのエンバウンドは、非上場企業ならではの機動力を活かした運営を行ってきましたが、上場企業であるALiNKグループに加わるにあたり、より厳密な予実管理やガバナンスに対応できる体制へと整える必要がありました。
ちょうどエンバウンドで経理を担当されていた社員の方が退職されるタイミングでもあったため、個人のスキルに依存した業務フローを引き継ぐのではなく、グループ全体の方針に合わせた仕組みとして再構築することが急務となっていました。
なぜフリーランス活用という手段を選択したのですか?
西口さま:必要な役割に対して、長期的なフルタイム雇用が最適ではないと判断したからです。
正社員採用も検討しましたが、上場企業基準に合わせた経理体制の構築には、一時的に集中的な対応が求められます。一方で、構築後も同じスキルセットや工数が恒常的に必要になるかは明確ではありませんでした。
まずは数年間かけて体制を整備し、その後のフェーズは状況に応じて見直したい。そうした前提に立ったとき、スピード感と柔軟性の両方を確保しやすいフリーランス活用が最適だと考えました。
Hajimariへどのような人材をオファーしたのですか?
西口さま:会計・経理の仕組みを自ら設計し、その運用まで責任を持って実行できるプレイングリーダーです。
単に日々の経理実務がこなせるだけでは、M&A後の体制づくりには対応しきれませんし、逆にプロセス設計だけを行うコンサルタントタイプでは、現場での運用定着が難しくなります。
エンバウンド側の業務を上場企業基準へ引き上げるには、仕組みづくりと実務の両方を一貫して担える存在が不可欠でした。そのため、上場準備や連結決算、管理部門の立ち上げを経験し、周囲を巻き込みながら主体的に動ける方を求めていました。
ご紹介いただいたY.Kさんは、まさにこうした要件に合致するプロフェッショナルで、面談の段階からこの方であればお任せできると確信を得ていました。
株式会社ALiNKインターネットさまへ参画したフリーランス
Y.Kさん 40代
IPO準備企業や情報サービス企業、プライム上場ホールディングスにて、管理部門全般を担ってきた経理・財務領域のプロフェッショナル。
新卒より一貫して経理業務に従事し、決算・税務・監査対応に加え、上場申請書類の作成や内部統制の構築など、IPO準備に関わる実務を幅広く経験。直近では管理部長として財務経理、法務、総務、人事労務を統括し、組織基盤の整備と運営体制の強化に携わる。
フリーランス活用の成果について

Y.Kさんにはどのようなポジションで入ってもらいましたか?
西口さま:Y.Kさんには、エンバウンド側の経理・管理部門をリードするポジションで参画いただいています。
具体的には、会計・経理体制の整備や稟議フローの構築・定着、請求・支払に関するルールづくりなど、いわゆる仕組みづくりと、その運用を現場に根付かせる実務の双方を担っていただいています。
加えて、当社側メンバーへの育成や業務の伴走も日常的に行っていただいており、単に外部専門家として作業を請け負うのではなく、「チームとして一緒に体制を整えていく」姿勢で関わってくださっている点も大きな助けになっています。
Y.Kさんはどんな方でしたか?
西口さま:着任直後から状況を的確に把握し、改善点や運用フローをわかりやすく整理してくださった点がまず印象的でした。専門性も高く、当社が求める基準にしっかり応えていただいています。
人柄も穏やかで、社内へのなじみ方がとても自然です。業務だけでなく、社内イベントにおいても周囲と適切にコミュニケーションを取りながら進めてくださるので、関係構築もスムーズに進んでいます。
専門性と協働姿勢のバランスがよく、当社のカルチャーにもフィットしている方だと感じています。
Y.Kさんにどのように課題解決を進めてもらいましたか?
西口さま:まずは社内の仕組みそのものから見直していただきました。その象徴的な取り組みの一つが、稟議フローの再構築です。
もともとエンバウンドは、少人数でスピーディに意思決定を行う組織だったため、形式よりもスピードを優先する文化がありました。しかし、上場グループとしてガバナンスを効かせるには、適切なプロセスが欠かせません。
その中でY.Kさんには、現場のスピード感をできる限り損なわないよう配慮しつつ、実態に合った稟議フローをゼロから再設計していただきました。
また、請求書の締め日や提出タイミングなど会計関連のルールも見直し、日常業務に無理なく組み込める形で整備を進めてもらっています。
プロセスの背景や意図についてもメンバーへ丁寧に説明いただき、運用基盤が着実に固まってきていると感じています。
Y.Kさんが参画した成果はどうでしたか?
西口さま:会計・経理まわりのフローが文書化され、現場と管理部門が同じ基準でコミュニケーションできるようになったことで、事業側も迷いなく意思決定に取り組める環境が整いました。
M&A直後は情報の整理に時間がかかっていましたが、今では必要なデータが可視化され、日々の運用も安定してきています。
Y.Kさん個人に依存しない体制づくりが進んでいることも重要です。実務の意図や判断理由を都度共有してくださるため、社内メンバーの理解が深まり、チーム全体のスキルが底上げされています。
フリーランス活用という手段について

Financeプロパートナーズを活用してみていかがでしたか?
西口さま:PMI直後という重要なタイミングで、実務に踏み込みながら全体のプロセスまで設計していただける方をご紹介いただけたのは、本当に心強かったです。
経理の実務をフリーランスの方にお願いするのは初めてでしたので、複数社にお声がけし比較検討したうえでの判断でした。その中で、以前エンジニア採用でもお世話になったHajimariさんが提供するFinanceプロパートナーズが、当社の課題に最も合致していました。
参画後は、立ち上がりの早さと丁寧なプロセス設計によって、PMI初期をスムーズに進めることができ、安心して業務をお任せできています。現在も経理領域では継続してご支援いただいている状況です。
株式会社ALiNKインターネットさまにとってフリーランス活用という手段とは?
西口さま:必要なタイミングで、必要な専門性を確実に受け入れるための選択肢だと捉えています。
特にエンジニアと経理は、採用市場でも競争が激しく、正社員だけで安定的に人材を確保することが難しい領域です。優秀な方ほど複数案件を比較されるため、採用までに時間がかかるケースも珍しくありません。
一方で、正社員採用は長期的な人件費を前提とした投資判断となるため、すぐに採用に踏み切れない場面もあります。しかし現場の業務は待ってくれません。そうしたギャップを埋める手段として、フリーランスの即戦力性は非常に有効だと感じています。
また、経理のような機密性の高い領域であっても、役割や期待値を明確にすれば外部の力を適切に活用できると実感しています。
当社としては、「正社員かフリーランスか」という二択ではなく、事業フェーズや課題に応じて最適なリソースを柔軟に組み合わせることが重要だと考えています。その中でフリーランス活用は、組織にとって欠かせない選択肢の一つになっています。
フリーランス活用が拓く、挑戦を支えるしなやかな組織づくり
株式会社ALiNKインターネットさまの今回の取り組みは、PMIという複雑なフェーズにおいて、外部の専門家が組織づくりにどのように貢献できるのかを示す実践例となりました。
フリーランスを人手不足の補填ではなく、仕組みづくりと日々の実務を同時に前に進めるための戦略的リソースとして受け入れたことが大きなポイントです。変化の多い状況でも業務を止めず、事業に集中できる環境づくりにつながりました。
正社員かフリーランスかという二択ではなく、事業フェーズに応じて最適なリソースを柔軟に組み合わせる。その姿勢は、これからの組織づくりを考えるうえで、一つの指針になるのではないでしょうか。